EUと日本の地域政策

最近、EUの地域政策に興味を持っている。

欧州連合EU)の構造政策(地域政策)(外務省サイト)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/kouzou_s.html

というのも、EU加盟国の地域(州)や都市を単位とした政策についての文献をいくつかみていると、
EUの「構造基金」より補助金を得たという記述が結構みられるのである。

「構造基金」自体は、

>域内地域間の経済的社会的不均衡の是正・拡大予防を行う」ことを目的として
(同サイト)

いるそうだが、
この中の、「URBAN II」というプログラムがよく出てくる。
応募主体自体は国単位であるが、プログラムの策定等は、どうも当該都市(地域)がプランニングしているようなのである。
そしてこの補助金は、非常に「競争的補助金」の性格を強く持っているようである。

つまり100億円あったら、応募のあった見込みのありそうな都市(地域)10箇所に10億円ずつ配分するようなものである。

これ、一見合理的に見えるが、日本社会の風土には合わない部分もある。
100億円あるなら、日本なら約2億円を全都道府県に配分するのではないだろうか。

日本社会は「公平性」を重んじる社会で、市町村ごとに介護保険の値段が違うのも、望ましくないとする主張があり(中井清美介護保険地域格差を考える』(岩波書店、2003年))、その主張は、一般的にも受け入れられているのではないか。

全国の地域別介護保険料額と給付水準を公表します(厚生省サイト)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp040531-1.html

しかしながら、現在の国の流れはEUをモデルとしており、近年、地域からのいわば「コンペ方式」的な補助金が色々見られる。

国土交通省の「まちづくり交付金」や「中心市街地活性化基本計画」、ちょっと古いし、構造改革特区の影で目立たなかったが、「地域再生計画」は、そういった「コンペ方式」的な性格をもつ事例といえるだろう。

まちづくり交付金
http://www.mlit.go.jp/crd/machi/tosihsoshitsu/matikou.html

認定された地域再生計画の例
http://www.wagamachigenki.jp/saisei/04.htm

中心市街地活性化本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/chukatu/

この背景には、やはり国・地方合わせた債務残高が800兆円を越える中、田中角栄以来の「均衡ある国土政策」が破綻したことが大きいだろう。
つまり、国に地方にばらまくお金がないので、「選択と集中」をして、頑張った地域だけが(補助金を得たりして)地域を活性化させ、生き残るという考え方ではないか。

もっとも、国が「審査して」決めるというやり方がそもそも正しいのかは議論としてありますし、現在検討されている補助金の「一括交付金化」は、こういった考え方とは間逆にありますし…

いずれにせよ、EUの補助金については、他にもいろいろ興味深いことがありそうなので、今後、いろいろ調べてみたいと思います。