【事業仕分け】傍聴しました。

金曜日は会社を休んで、事業仕分けを傍聴してました。
このセッション(21日午後のセッションB)は自分の会社と関係のある団体が多かったので。
といっても会場じゃなくてネット中継ですけどね。
でもネット中継は第1弾と異なり、民間5社がある意味会社の名誉をかけてやってるだけに、非常に快適。
別ウィンドウでPDF化された資料を見ながら視聴できるので、ある意味実際に会場で傍聴するより非常に見やすいかも。

注目は、
(1)(財)日本宝くじ協会(言わずと知れた元締め。我が社も少額ですが助成を受けています。)
(2)(財)全国市町村振興協会(間接的にですが、我が社との関係がないわけではない団体。アカデミーも元はここが運営してました)
(3)(財)自治総合センター(直接関係はないけど、知事会とは縁が深いようです。振興協会と同じでお金持ってます)
(4)(財)全国市町村研修財団(市町村アカデミー、国際アカデミーを運営するために最近急遽作られた財団)
(5)(財)自治体国際化協会橋下知事、石原知事の批判で有名になりましたが、我が社も海外調査では随分お世話になっています。)
あたり。

上記団体だけではなく、この午後のセッションの9団体全体を通じてショックだったのは、仕分けされる団体の代表者のプレゼンや質疑応答が下手すぎたこと(霞ヶ関の役人はプレゼンが下手というのは第1弾でも言われていたことですが…)。
天下り(や現役出向)というのは、団体の「格」と職位によって、どの程度偉い(くなった)人がいくかどうかが厳密に決まっています。
なので、「格」の低い団体であったり、重要でないポストの人が説明していれば、「役人として残念だったのね」でまだ納得できるのですが、説明していたのは、ほとんどが事務次官経験者かそれに近いクラス。
それなのに、いかにも小役人・悪人というような風体だったり、空気が読めなかったり。

仕事柄、元役人でも偉くなった人というのは、見識や威厳やコミュニケーション能力の高さなど、「さすが」と思わされることが多々あります。いわゆる霞ヶ関のキャリアと呼ばれる人々は、大学卒業時点で優秀であっただけではなく、財務省であったり、国会議員であったり、地方自治体の勤務であったり、そうした勤務での数々の折衝の経験から、プレゼンテーション能力はもちろんのこと、コミュニケーション能力も非常に高いはずです。それが、退職して衰えたのか、霞ヶ関の人材の質が劣化しているのかわかりませんが、ちょっとひどかったです(もちろん僕がプレゼン上手ってわけじゃないので、天に唾することは承知の上ですが)。これでは国民の目から見て給与に見合っていないという批判を受けても、文句は言えないという印象を与えてしまったのではないかと思います。

で、宝くじ関係団体の(1)〜(3)は1つのセッションだったのですが、
報道の通り、仕分け結果は、
高額な役員給与、高価なオフィス、複雑な資金の流れは、宝くじの収益金の使い方としては不適切。
上記事業は廃止すべきであり、発行者の地方自治体、当せん金を得る購入者のために、こうした問題がクリアーされるまでは、総務大臣は宝くじを認可すべきではないという非常に厳しい結論でした。

進行役の寺田議員が宝くじの普及宣伝事業として助成を受けた関連団体の報告書やDVD(衛星電話番号簿、村の写真集など)を取り出しはじめたときは、ウチの会社の報告書が出てこないかと思ってヒヤヒヤしました。

(4)(財)全国市町村研修財団については、
基金、施設のあり方を研修全体のあり方で効率化するよう行政指導すべき。
・地方六団体自体、天下り団体であり、自立した団体とはいえないのでそのあり方を検討すべき。
という結論でした。
この財団(平成20年設立)、設立の詳しい経緯はわからないのですが、公益法人等改革への対応として、全国市町村振興協会の運営ではなく、宝くじのお金も入ってるけど、自立した財団として基金を運営するつもりだったと思うのですが、その基金が800億円(元は宝くじマネーですが)あったのが「埋蔵金」とみなされて裏目に出た感じです。
また、豪華な施設と稼働率の悪さ(4割程度)も批判の対象でした。

地方六団体のあり方は、僕はまだソースを確認していないのですが、一部報道では、天下りをやめることを原口総務大臣が約束することを条件に事業仕分けから外れたようなので、天下りの廃止は規定路線なのでしょう。
僕の意見は既に書いた通りですが、同僚によるとオランダでは地方を代表する団体の事務方の長のポストには与党の一線を退いた政治家がついているらしいので、こういうときには、国際的な視座が重要になるのではないでしょうか。

(5)(財)自治体国際化協会(CLAIR)については、
国からお金が出ているわけでも、宝くじの発行権限があるわけではないので、総務省に対して行政指導を行うべきという要請というのを前提に、
・地方の総意に基づき行っていると言われる事業については、このような「地方の総意」の再検討を行う
・対象事業の見直しを行う
地方自治体の負担のあり方を見直す
という結論でした。
正直CLAIRは厳しいと思っていたので意外な結論でしたが、国のお金が全く入っていないことから、首の皮一枚つながったというところでしょうか。
4月に理事長が学識者になっただけではなく、7つの海外事務所長すべてが総務省のキャリアの天下り(もしくは現役出向)であったのが、7月からニューヨーク事務所長が自治体職員になるらしいですし、今後もいろいろ「改革」をして組織の生き残りを図っていくと思われます。
ただし、都道府県、政令指定都市の負担金で成り立っているCLAIRは、今後も橋下知事や石原知事のような「強硬派」がいることから、「地方の総意」への理解と負担金の面で、そのあり方が厳しく問われるのは間違いないでしょう。